タンパク質の精製・脱塩
平衡透析・ダイアフィルトレーション
MWCO保持性の品質確認

透析・限外ろ過バッファー交換計算機

透析または限外ろ過の条件を入力して、バッファー交換後の溶質濃度と除去率を計算します。

透析条件

複数回のバッファー交換後に残る溶質量を、平衡モデルで計算します。
標準的な交換条件の例:

例:4°Cで撹拌しながら3〜4時間交換し、再度3〜4時間交換した後、必要に応じて一晩(12〜16時間)交換します。条件は試料とプロトコルに合わせてください。

透析による溶質除去の計算結果

1段階の希釈:1 : 201.0倍
初期溶質濃度:500 mM
溶質の除去率:<100%
交換後に残る溶質量:3回の交換
6.157e-5 mM
目標値(1.0 mM) requires ≥ 2回のバッファー交換が必要です。
交換回数残存濃度除去率(%)
交換回12.488 mM99.50%
交換回20.012 mM100.00%
交換回36.16e-5 mM100.00%

透析・限外ろ過の計算方法

アフィニティークロマトグラフィー精製後の脱塩(NaCl、硫安等)、変性剤除去(尿素、塩酸グアニジン)、溶出配位子除去(イミダゾール、グルタチオン)は、タンパク質の活性維持や結晶化・クライオ電顕(cryo-EM)調製に不可欠です。

平衡透析法 (Equilibrium Dialysis)

微小溶質が濃度勾配に駆動され半透膜(再生セルロース膜)を拡散通過。平衡時の残留濃度は Cn = C0 · [Vs / (Vs + Vb)]^n。新鮮なバッファーで複数回交換することで指数関数的に除去されます。

遠心限外濾過ダイアフィルトレーション

遠心力による水圧で溶媒と微小溶質がPES膜を透過し、高分子が濃縮液側に保持されます。新鮮なバッファーで希釈と遠心を繰り返すことで、数日間かかる透析を数時間で完了できます。

MWCOの入力と解釈

分画分子量(MWCO)は、球状タンパク質の90%以上が保持される膜孔径の指標です。

MWCO選択の目安

目的タンパク質の分子量の約3分の1以下のMWCOを、候補を絞る際の目安として使えます(例:35〜45 kDaのタンパク質では10 kDaを検討)。これは経験的な目安で、回収率や膜漏出を保証するものではありません。膜と試料に応じて確認してください。

非球状タンパク質の挙動

変性状態や繊維状タンパク質は球状に比べ流体力学的半径が大きく、やや大きな細孔でも保持されやすくなります。

膜の事前水洗

市販の透析膜には微量のグリセロールやアジ化ナトリウムが含まれています。サンプル注入前に15〜30分間超純水で洗浄してください。

計算例

計算実例:5 mL Hisタグ溶出液(500 mM イミダゾール)の脱塩

5 mLのサンプルを10 kDa透析膜に入れ、毎回1.0 Lの新鮮なバッファーで3回交換透析を実施。

交換回数外液体積希釈率残留イミダゾール濃度累積除去率 (%)
初期状態—1.0500 mM0.00%
第1回交換 (4時間)1.0 L1 / 201 (0.004975)2.49 mM99.50%
第2回交換 (4時間)1.0 L1 / 201 (0.004975)12.4 µM99.9975%
第3回交換 (一晩)1.0 L1 / 201 (0.004975)0.062 µM (62 nM)> 99.9999%
重要比較:分割交換 (3 × 1L) vs 一括大容量透析 (1 × 3L)
分割交換と一括交換の比較
非効率:1回3.0Lで一晩放置

832 µM (0.83 mM)

高濃度イミダゾールが残留し結晶化や活性に悪影響

例:1.0 Lずつ3回に分けて交換

0.062 µM (62 nM)

同量のバッファー消費で13,400倍クリーンに脱塩可能

よくある質問

バッファー交換の計算には何を入力しますか?

交換方法、試料量、初期濃度、交換液量や交換回数など、画面の条件を入力します。

複数回の交換を計算できますか?

はい。交換回数などを指定して、交換後の溶質濃度を計算します。

透析と限外ろ過は同じ計算ですか?

ページでは透析と限外ろ過のモデルを選んで計算します。実際の操作条件に合う方法を選択してください。

計算結果は実測値ですか?

いいえ。結果は入力条件に基づくモデル計算です。膜特性や操作条件による差があるため、実測値とは区別してください。