タンパク質分子量計算機|分子量・pI
アミノ酸配列を入力して、分子量、等電点、配列に基づく物性値を計算します。
アミノ酸配列とプリセット
翻訳後修飾 (PTM) & タグ設定
正味電荷 vs pH 滴定曲線
pH 7.4 においてタンパク質は強い負電荷 (-19.96 e) を持ちます。正に帯電した陰イオン交換樹脂(Q-Sepharose, DEAE, Capto Q等)に特異的に吸着し、正に帯電した不純物はフロースルーします。NaClグラジエントで溶出可能です。
Kyte-Doolittle 疎水性プロファイル
アミノ酸組成・物理化学的分類
次の実験ステップへの連携
このツールで求めた分子量・吸光係数・pIは、後続のタンパク質定量やSDS-PAGE、透析の重要なインプットとなります:
アミノ酸配列からの分子量計算
一次アミノ酸配列からタンパク質分子量を算出することは、現代の分子生物学および質量分析の基本です。ペプチド結合の形成に伴いアミノ酸間で脱水縮合が起こり、ペプチド結合1つあたり水1分子(18.015 Da)が脱離します。
平均分子量 (Average MW)
各元素の天然同位体存在比を加重平均した原子量を用います。SDS-PAGEのバンド推定や溶液調製、凍結乾燥粉末の計量に標準的に使用されます。
モノアイソトピック質量
各元素の主同位体(最も存在比が高く軽い同位体)の質量を厳密に採用します。OrbitrapやQ-TOF等の高分解能質量分析(LC-MS/MS)におけるインタクトプロテインやペプチド同定の基準です。
モル吸光係数(ε280)は Pace (1995) の確立されたモデルを採用しています:Trpが 5,500、Tyrが 1,490、ジスルフィド結合(シスチン)が 125 M⁻¹cm⁻¹ を寄与します。還元剤存在下ではジスルフィド結合が解離するため還元型数値を適用します。
配列特性の計算結果
イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、タンパク質精製プロセスにおいて極めて重要な電荷分離技術です。タンパク質表面の正味電荷はバッファーpHに直接依存します:
陰イオン交換 (AEX)
バッファーpHがpIより高い場合、タンパク質は脱プロトン化され負に帯電します。正に帯電したレジン(Q-Sepharose等)に結合します。
陽イオン交換 (CEX)
バッファーpHがpIより低い場合、タンパク質はプロトン化され正に帯電します。負に帯電したレジン(SP-Sepharose等)に結合します。
等電点沈殿リスク (pH ≈ pI)
等電点近傍(±0.5 pH)では正味電荷がゼロに近づき、分子間の静電反発力が失われて不溶性凝集を起こしやすくなります。調製時は避けるべき領域です。
標準アミノ酸20種の物理化学特性・質量対照表
ペプチド鎖の分子量、等電点、吸光係数(ε280)、疎水性プロファイルはアミノ酸残基の物理化学的特性に起因します。脱水縮合により残基質量は遊離アミノ酸質量より18.015 Da低くなります。
| 記号 | アミノ酸名 | 残基モノアイソトピック質量 | 残基平均分子量 | 側鎖 pKa | pH 7.4での電荷 | 疎水性指標 | ε280 (M⁻¹cm⁻¹) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| R / Arg | アルギニン | 156.101 Da | 156.19 Da | 12.48 | +1.0 | -4.5 | — |
| K / Lys | リシン | 128.095 Da | 128.17 Da | 10.53 | +1.0 | -3.9 | — |
| H / His | ヒスチジン | 137.059 Da | 137.14 Da | 6.00 | +0.09 | -3.2 | — |
| D / Asp | アスパラギン酸 | 115.027 Da | 115.09 Da | 3.90 | -1.0 | -3.5 | — |
| E / Glu | グルタミン酸 | 129.043 Da | 129.12 Da | 4.07 | -1.0 | -3.5 | — |
| W / Trp | トリプトファン | 186.079 Da | 186.21 Da | — | 0.0 | -0.9 | 5,500 |
| Y / Tyr | チロシン | 163.063 Da | 163.18 Da | 10.07 | 0.0 | -1.3 | 1,490 |
| F / Phe | フェニルアラニン | 147.068 Da | 147.18 Da | — | 0.0 | +2.8 | ~200 |
| C / Cys | システイン | 103.009 Da | 103.14 Da | 8.33 | -0.1 | +2.5 | 125 |
| M / Met | メチオニン | 131.040 Da | 131.20 Da | — | 0.0 | +1.9 | — |
| I / Ile | イソロイシン | 113.084 Da | 113.16 Da | — | 0.0 | +4.5 | — |
| V / Val | バリン | 99.068 Da | 99.13 Da | — | 0.0 | +4.2 | — |
| L / Leu | ロイシン | 113.084 Da | 113.16 Da | — | 0.0 | +3.8 | — |
| A / Ala | アラニン | 71.037 Da | 71.08 Da | — | 0.0 | +1.8 | — |
| P / Pro | プロリン | 97.053 Da | 97.12 Da | — | 0.0 | -1.6 | — |
| N / Asn | アスパラギン | 114.043 Da | 114.10 Da | — | 0.0 | -3.5 | — |
| Q / Gln | グルタミン | 128.059 Da | 128.13 Da | — | 0.0 | -3.5 | — |
| S / Ser | セリン | 87.032 Da | 87.08 Da | — | 0.0 | -0.8 | — |
| T / Thr | トレオニン | 101.048 Da | 101.11 Da | — | 0.0 | -0.7 | — |
| G / Gly | グリシン | 57.021 Da | 57.05 Da | — | 0.0 | -0.4 | — |
電荷は推定値です。疎水性指標はKyte–Doolittleスケール(正値は疎水性、負値は親水性)を示します。消光係数は280 nmにおけるTrp、Tyr、ジスルフィド結合の寄与を示します。
💡 補足:ポリペプチドの全長分子量 = 各残基質量の総和 + 18.015 Da(N末端HおよびC末端OHの付加)。翻訳後修飾がある場合は各官能基の質量補正が必要です。
計算例
ウシ血清アルブミン(BSA)は、生化学実験でよく使われる参照タンパク質です。以下は成熟型配列の計算例です。
これらは配列とモデルに基づく推定値です。タンパク質の由来、アイソフォーム、修飾、バッファー条件により実測値は変わります。イオン交換担体や溶解性は試料と実験条件に合わせて確認してください。
よくある質問
Q1分子量の計算には何を入力しますか?
タンパク質のアミノ酸配列を入力します。対応する形式や残基は入力欄の案内を確認してください。
Q2平均分子量とモノアイソトピック質量は表示されますか?
ページで対応する質量値を表示します。用途に合わせて確認してください。
Q3等電点(pI)はどのように求めますか?
入力配列に含まれるアミノ酸残基の性質に基づく理論値として計算します。
Q4翻訳後修飾は計算に含まれますか?
配列だけからの計算には、入力配列に反映されていない修飾や切断は含まれません。必要に応じて配列を調整して解釈してください。
Q5A280吸光係数も確認できますか?
対応する配列特性としてモル吸光係数を表示します。計算結果は入力配列に基づく理論値です。
Q6SDS-PAGEの見かけの分子量と一致しますか?
必ずしも一致しません。ここでの値は配列に基づく理論計算値であり、実験での移動度を計算するものではありません。